安い保険が本当に良い保険?

保険商品を選ぶときに「保険料を少しでも安くしたい」と多くの方はお思いですよね。消費税も上がったし、毎月の家計のやりくりに苦労されている方にとって、保険料支払いが安いに越したことはないでしょう。

ただし、安い保険には保険料負担が低くなるメリットを得る反面、デメリットもあることについても注意しなければなりません。
以下の3つのケースについて考えてみました。

【保障内容が減るケース】
保険料を安くするということは、保障を小さくするということにつながる可能性があります。現在加入の保険が必要額以上の保障内容だったり、希望して保障内容が小さい保険を選んだりしているのであれば問題はないのですが、保険は理解するには複雑な商品なので契約者が気付かないところで保障が小さくなっているケースがあります。

例えば医療保険の場合、入院限度日数が短くなっていたり、手術給付金が小さくなっていたり、保障の範囲が狭くなっていることに気付かないことがありますので、注意が必要です。

【保険会社の格付が低いケース】
保険会社の信用度を重視される方には、保険会社の格付は一つの目安になるでしょう。いくら保険料が安くなっても、保険会社の格付が低ければせっかく保険に加入していても安心できないかもしれません。

例えばブランド品を選ばれる方は、同等の機能を果たす安い物が他にあっても、そのブランドの信用力やステイタスに満足して高い物を選択されています。保険の場合も保険会社を選ぶという考え方があってもいいかもしれません。

【担当者の対応が悪いケース】
保険にコンサルティングという別の価値観を付加する考え方もあります。例えば、保険に加入した後に担当の方からの様々なフォローを期待している方にとっては、たとえ保険料が安い保険に加入していても、担当者のフォローが全くないということはデメリットになります。通販型の保険の場合は保険金や給付金の請求時に対応はしてくれても、保険契約者にマッチしたオーダーメイドのコンサルティングは期待できません。

多少保険料が高くてもその保険会社、保険代理店の担当者の対応がプラスであれば、保険料にコンサルティングフィーが付加されていると考えることもできます。

以上3つのケース以外にも判断基準はあると思いますが、そのメリット、デメリットがご自身の価値観と照らし合わせて必要かどうかを検討して判断することをおすすめします。

独身なんですが、生命保険って必要?

友人や親せきの方から、「みんなが入っているから」と勧められて生命保険には入ったけど、独身のときに生命保険って必要なの?と感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。

実際、結婚やお子さまの誕生を機に生命保険を考え直すという方は多いものの、男性女性にかかわらず、独身の方から生命保険について相談をお受けすることは実際に少ないといえます。

だからといって、独身なら生命保険についてあまり考えなくても良いものでしょうか?

生命保険は、万一のときの経済的な損失をカバーするために加入するものです。あまり普段から考えたくもない、縁起でもない話ですが、この機会に自分が亡くなってしまったときや、大きな病気にかかって長期に渡って入院してしまったときという万一の状況を想像してみましょう。

高齢になってからの加入より、若いうちの加入のほうが掛け金が少額で済みます。そしてあなたが万一亡くなってしまうという事態が生じたときに、ご両親が高齢であなたの収入が家計の大きな支えになっている場合は、その収入の補てんを生命保険などでカバーする必要があるかもしれません。また、葬儀にもお金がかかります。十分な預貯金が準備されていない場合には、その費用を保険でカバーしておく必要があるでしょう。

入院等に備える医療保険も然りです。会社からのサポートや健康保険からの給付を踏まえ、まだ若く親に甘えることが許されたり、預貯金等で備えが十分にできていたりするのであれば、医療保険を備える必要はないかもしれません。しかし、健康保険の対象外となる費用負担に現在の預貯金額では不安が残ったり、親のすねをかじるわけにはいかなかったりという場合には、医療保険でカバーをしておく必要もでてきます。

ある20代半ばの独身女性から、生命保険の見直しについてご相談を受けたことがありました。その保険金は、なんと6,000万円!!ご両親は元気に働いていらっしゃって、その独身女性が家計の大黒柱というわけではありませんし、加入者本人もそんなに大きな生命保険に加入している意識もありませんでした。これは極端な例ですが、独身でも、各人の環境によって生命保険が必要か否かは異なってきます。勧められたから…ではなくて、「必要な生命保険は何か?」を考えるようにしましょう。

たばこを吸わないと、保険料が安くなる?

ここ最近の健康ブームに加え度重なるたばこ税増税や喫煙環境の変化により、禁煙に踏み切る人が増えています。私の周りでも「たばこ、止めました」という声をよく耳にします。

確かにたばこにはニコチン、タール、一酸化炭素等の有害物質が含まれており、以前から循環器系への悪影響や発がんリスクの増大が指摘されていました。そして、周りの人達に対するいわゆる受動喫煙の問題もあり、今や日本は分煙・禁煙社会の実現に向け、歩みを進めています。
そのような時代背景もあり、一部の生命保険会社では「非喫煙割引制度」が導入されています。

非喫煙割引制度とは、生命保険会社が定めた一定基準を満たす場合に保険料が割り引かれる制度。会社ごとに割引率は異なりますが、たばこを吸わない人にとっては、有利な制度ではないでしょうか。

「非喫煙割引」を受けるためには、非喫煙割引を受けるための例を挙げると、①1年(2年)以内にたばこを吸っていないこと。②コチニン検査に合格すること。の2つの要件を満たさねばなりません。①については告知義務があり、②については専用のキットを使用し検査を実施します。

たばこに含まれるニコチンは、体内に入るとコチニンという物質に変わり、血液や唾液等に含まれます。コチニン検査とは唾液に含まれるコチニンの濃度を測り、その結果により「非喫煙割引」が受けられるかどうかを調べる検査のことです。専用キットに唾液を染み込ませ、その成分をチェックし、保険会社の定める濃度以下であれば晴れて「非喫煙割引」が受けられます。

もっとも非喫煙割引が適用されるかどうかは①、②を満たすだけではなく、その他、体況上の告知等も踏まえた各保険会社判断となります。

すべての保険に「非喫煙割引」があるわけではありません。とはいえ、非喫煙割引を導入している会社においても、すべての保険商品で非喫煙割引が受けられるわけではありません。今のところ、収入保障保険や定期保険で利用できるケースが多いようです。一部の保険会社では、終身保険にも非喫煙割引の設定がありますが、医療保険・がん保険に関してはまだ導入している保険会社はありません。今後の動きが気になるところです。

「非喫煙割引」のポイント。たばこを吸わない人にとって非喫煙割引は、とても魅力ある制度だと思います。とはいえ、万能ではありません。非喫煙割引制度のある保険が制度のない保険に内容で勝るかといえば、必ずしもそうではないからです。やはり大切なのは、必要な保険のカタチをまず決めること。そのうえで、同じ保障が非喫煙割引を活用することで割安で加入できるのであれば、ぜひ活用しましょう。

なお、今、たばこを吸っている人も禁煙後一定期間を経ることで非喫煙割引が受けられるようになるので、禁煙を志す方は、そのモチベーションのひとつとして考慮いただければと思います。